クリーン開発メカニズム(CDM)とは
クリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism、CDM)は、京都議定書に基づいて策定された国際的な温室効果ガス削減の枠組みです。先進国(附属書I国)が、発展途上国で温室効果ガスの削減プロジェクトを実施し、その成果として得られる削減量を自国の削減目標に活用する仕組みです。これにより、地球温暖化対策を国際的に進めると同時に、発展途上国の持続可能な発展を支援する役割を果たします。
クリーン開発メカニズムの背景
京都議定書と温室効果ガス削減
京都議定書は、1997年に採択された国際的な気候変動対策の枠組みで、先進国に温室効果ガス排出削減の義務を課しています。その中で、CDMは柔軟な削減手段として位置付けられ、以下のような目的を持っています。
- 費用対効果の高い排出削減:発展途上国での削減プロジェクトにより、先進国が低コストで目標を達成できる。
- 技術移転と持続可能な発展:発展途上国に先進的な技術や資金を提供し、地域経済を発展させる。
クリーン開発メカニズムの仕組み
基本的なプロセス
- プロジェクトの提案
発展途上国での削減プロジェクトを計画し、国際的な承認を得る。例として、再生可能エネルギーの導入やエネルギー効率の向上が挙げられる。 - 削減量の計算と認証
実施されたプロジェクトがどれだけの温室効果ガスを削減したかを測定し、第三者機関による検証を受ける。 - 削減クレジットの発行
削減が認証されると、「CER(Certified Emission Reductions)」という排出削減クレジットが発行される。このクレジットは先進国が自国の削減義務に充てることができる。
具体例
- 太陽光発電プロジェクト
発展途上国で太陽光発電設備を設置し、化石燃料に依存する電力供給を代替。これにより二酸化炭素の排出を削減。 - 廃棄物管理プロジェクト
ゴミの焼却や埋め立てで発生するメタンガスを回収してエネルギーとして利用。温室効果が二酸化炭素の数倍高いメタンの排出を抑制。
クリーン開発メカニズムのメリットと課題
メリット
- 環境対策と経済発展の両立
発展途上国の経済発展を促しながら、地球規模での温室効果ガス削減が可能。 - 国際協力の推進
先進国と発展途上国が協力することで、国際的なパートナーシップを強化。 - 技術革新の促進
再生可能エネルギーや環境技術の普及が進む。
課題
- 認証手続きの複雑さ
削減量の計算やプロジェクトの承認に時間とコストがかかる。 - クレジット価格の変動
市場価格が安定しないため、プロジェクトの採算性に影響を及ぼす可能性がある。 - 地域的な偏り
一部の国や地域にプロジェクトが集中し、恩恵が均等に分配されないことがある。
図表例:CDMの仕組み
以下のような図を活用することで、仕組みを視覚的に説明できます。
プロセス | 主なアクション | 関与者 |
---|---|---|
プロジェクト提案 | 削減計画の策定と承認申請 | プロジェクトオーナー、国連 |
削減量の測定と認証 | 温室効果ガス削減量を検証 | 第三者認証機関 |
クレジットの発行と取引 | CERの発行、先進国への取引 | 国連、先進国 |
クリーン開発メカニズムの今後の展望
CDMは、地球温暖化対策の重要な柱として機能してきましたが、パリ協定の採択後、枠組みが変更されています。現在は「持続可能な開発メカニズム(SDM)」という新たな制度が検討されています。今後も国際的な協力の基盤として活用されることが期待されています。