二重価格とは?
二重価格とは、商品やサービスの価格設定において、2つ以上の異なる価格を並べて表示する手法を指します。この手法は、主に「比較価格表示」とも呼ばれ、消費者に価格の優位性やお得感を伝えるために用いられます。二重価格表示には適切なルールが存在し、それを守らない場合は法的な問題に発展する可能性があります。
二重価格の種類
1. 通常価格と割引価格
よく見られるのが「通常価格」と「割引価格」を並べる形式です。たとえば、「通常価格5,000円、割引価格3,500円」と表示することで、購入者に「お得感」を感じてもらうことを目的としています。
2. 希望小売価格と販売価格
メーカーが提示する「希望小売価格」と実際の「販売価格」を並べる形式です。たとえば、「希望小売価格10,000円、販売価格7,800円」と表示することで、購入者に値引きの魅力を伝える手法です。
3. 期間限定価格
「期間限定でこの価格」とすることで、購入の緊急性を高める方法です。たとえば、「定価8,000円、期間限定5,000円」といった表示がこれに該当します。
二重価格が消費者に与える影響
消費者心理への影響
二重価格は、消費者に「お得感」を感じさせる強力な手法です。比較対象が明確であれば、購入意欲が大幅に向上します。心理学では「参照価格理論」に基づき、割引後の価格がより魅力的に見えるとされています。
消費者信頼の維持が必要
ただし、虚偽の価格表示が発覚した場合、ブランドイメージを著しく損なうリスクがあります。価格設定の透明性は、顧客信頼を維持する上で非常に重要です。
二重価格表示の規制
日本における法的規制
日本では、「景品表示法」(正式名称:不当景品類及び不当表示防止法)に基づいて、二重価格表示が規制されています。この法律では、以下のような行為が禁止されています。
- 実際には販売されていない価格を「通常価格」として表示すること
- 割引価格として表示されているものが、実際には長期間その価格で販売されている場合
違反した場合のリスク
違反が発覚した場合、公正取引委員会や消費者庁から是正指示や課徴金の対象となる可能性があります。これにより、ブランド価値の低下や法的トラブルに発展することがあります。
二重価格を適切に運用するためのポイント
1. 価格の正確性を担保する
過去に販売した実績がない価格を「通常価格」として表示しないことが重要です。
2. 表示期間を明確にする
割引価格の適用期間を明確にし、消費者に誤解を与えないようにしましょう。
3. 関連する法令を遵守する
景品表示法や消費者保護規制を遵守するために、専門家によるチェックを行うことを推奨します。
図:適切な二重価格表示の例
以下のような形式で価格を表示すると、消費者に信頼感を与えることができます。
通常価格 | 割引価格 | 割引率 | 割引期間 |
---|---|---|---|
10,000円 | 8,000円 | 20% OFF | 2024年11月1日~30日 |
二重価格の活用シーンと注意点
活用シーン
- セールやキャンペーンの告知
- ECサイトでの価格競争対策
- 高額商品の販売促進
注意点
適切な価格設定が行われない場合、法的な問題や消費者のクレームに繋がる可能性があるため、慎重に運用する必要があります。