CLS (Cumulative Layout Shift)とは?
CLS (Cumulative Layout Shift)は、Webページの視覚的な安定性を測定する指標で、ユーザー体験を評価する重要な要素です。特にページの読み込み中やインタラクション時に要素が突然移動する現象を数値化し、ユーザーの使いやすさを保証するために利用されます。
CLSが注目される背景
近年、Webユーザーの期待は「スムーズな操作性」と「ストレスのない体験」に大きく寄っています。この中でCLSは、Googleが提唱するCore Web Vitals(コアウェブバイタル)の一部として、Webページの品質向上に寄与する重要な指標とされています。特に以下の場面で効果を発揮します。
- スマートフォンなどのモバイルデバイスでの閲覧
- 初見のページや広告が多いサイト
- 購入や登録など、集中が求められるシナリオ
CLSの仕組みと測定方法
何を測定するのか?
CLSは「視覚的な変化」を基に算出されます。具体的には、次の2つの要素を掛け合わせた値として表されます。
- 影響範囲(Impact Fraction)
ページ上で移動した要素が画面全体にどの程度影響を与えたかを示します。 - 距離(Distance Fraction)
移動した要素の位置の変化量を基に算出します。
良いCLSの基準値
GoogleはCLSスコアを以下のように評価しています:
- 0.1以下:良好
- 0.1~0.25:改善が必要
- 0.25以上:問題あり
高いスコアは、要素の移動が頻発していることを示し、ユーザー体験の大幅な低下を招きます。
CLSが及ぼすビジネスへの影響
1. ユーザー体験の向上
視覚的な安定性が向上することで、ユーザーは意図しない操作や混乱を避けられます。例えば、購入ボタンが突然移動するような問題を回避することで、コンバージョン率の向上が期待されます。
2. SEOへの影響
GoogleはCLSをランキング要因の一部として採用しています。CLSが悪いサイトは、検索順位が下がる可能性があり、特にモバイル検索では集客効率が著しく低下するリスクがあります。
3. ブランドイメージの改善
スムーズでストレスのない操作性は、企業やブランドへの信頼感を高めます。反対に、不安定なレイアウトはユーザーに信頼性の低い印象を与える可能性があります。
CLSを改善するための具体的な施策
1. 画像や広告のサイズを明確に指定する
画像や広告のサイズをHTMLやCSSで固定することで、ロード中のレイアウトの変化を防げます。
2. 動的なコンテンツを管理する
動的に読み込まれるコンテンツ(例:広告や埋め込み動画)は、慎重に配置し、他の要素と干渉しないようにします。
3. フォントの読み込みを最適化する
フォント切り替えによるレイアウトの変化を防ぐため、フォント表示の遅延を減少させる技術(例:フォントディスプレイ戦略)を採用します。
実践のための具体例:効果的な改善の図解
以下は、CLS改善施策の具体例です。
問題 | 改善例 | 効果 |
---|---|---|
画像サイズ未指定 | 明確に幅・高さを設定 | レイアウトの変化を防ぐ |
動的広告 | 事前に十分なスペースを確保 | 突然の移動を抑制 |
フォント遅延 | フォールバックフォント利用 | 読み込み中のレイアウト崩れ防止 |