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FCFF(Free Cash Flow to Firm)とは

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FCFF(Free Cash Flow to Firm)の解説

1. FCFFとは?

FCFFは「Free Cash Flow to Firm」の略で、企業が営業活動を通じて得たキャッシュフローのうち、すべての資金提供者(株主および債権者)に配分可能な自由なキャッシュフローを指します。これは企業の事業活動の健全性や成長性を評価するための重要な指標とされています。

主に以下のようなケースで活用されます:

  • 企業価値評価(DCF法など)
  • 投資意思決定
  • 借入金や株主配当の支払能力の分析

FCFFは「営業活動によるキャッシュフロー」から「設備投資」や「運転資本の増減」を差し引いて算出されます。


2. FCFFの計算方法

FCFFの計算式は、以下のように表されます:

基本的な計算式
FCFF=EBIT×(1−税率)+減価償却費−設備投資−運転資本増加額FCFF = EBIT × (1 – 税率) + 減価償却費 – 設備投資 – 運転資本増加額FCFF=EBIT×(1−税率)+減価償却費−設備投資−運転資本増加額

  • EBIT(Earnings Before Interest and Taxes):営業利益
  • 税率:法人税の実効税率
  • 減価償却費:キャッシュフローに戻す非現金費用
  • 設備投資:資本支出(CAPEX)
  • 運転資本増加額:売掛金、棚卸資産、買掛金などの変化を考慮

以下に例を挙げます:

  1. EBIT:10億円
  2. 税率:30%
  3. 減価償却費:2億円
  4. 設備投資:4億円
  5. 運転資本増加額:1億円

FCFF=10億円×(1−0.3)+2億円−4億円−1億円=4億円FCFF = 10億円 × (1 – 0.3) + 2億円 – 4億円 – 1億円 = 4億円FCFF=10億円×(1−0.3)+2億円−4億円−1億円=4億円


3. FCFFの重要性

3.1 企業価値評価における役割

FCFFはDCF(Discounted Cash Flow)法において、企業価値を算出するための基礎となります。FCFFを将来の予測値に基づいて計算し、それを適切な割引率で現在価値に変換することで、企業全体の価値が求められます。

3.2 株主・債権者への利益分配の判断材料

FCFFは株主や債権者にとって、企業が自由に利用可能な資金の規模を示す指標です。これにより、配当や借入金返済の余裕度を測ることが可能です。

3.3 投資意思決定の支援

FCFFは、新規プロジェクトや企業買収に際し、その投資が企業全体に与える影響を測る際にも有用です。


4. FCFFの注意点

4.1 計算に必要なデータの正確性

FCFFは多くの計算要素に依存するため、各項目のデータが正確であることが重要です。特にEBITや運転資本の変化を適切に算出する必要があります。

4.2 事業特性の影響

事業分野によっては、設備投資(CAPEX)の規模が大きく異なるため、比較には慎重さが求められます。例えば、製造業は設備投資が高く、サービス業は低い傾向があります。


5. FCFFを図で理解する

以下はFCFFの構造を示す簡易図です:

営業利益(EBIT)
↓ 税引き後営業利益(NOPAT
+ 減価償却費
- 設備投資(CAPEX)
- 運転資本増加額

FCFF(Free Cash Flow to Firm)

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