Gross Income Multiplier(GIM)とは
**Gross Income Multiplier(GIM)**は、不動産投資や資産評価の場面でよく用いられる指標の一つです。不動産物件の価格とその物件が生み出す総収入(Gross Income)との関係性を示し、投資効率や収益性を簡単に評価するための便利な手法として活用されています。
Gross Income Multiplierの計算方法
GIMを計算するためには、以下の式を使用します。
GIM=不動産価格/年間総収入
- 不動産価格: 購入時の不動産の市場価値、または売買価格
- 年間総収入: 賃貸物件の場合、年間の賃料収入やその他収益
例えば、ある物件の価格が1億円で、年間の賃料収入が1000万円の場合、GIMは以下のようになります。
GIM=1億円/1000万円=10
Gross Income Multiplierの活用場面
投資効率の比較
GIMは、複数の物件を比較してどちらが投資効率が良いかを判断する際に役立ちます。一般的には、GIMが低いほど投資効率が高いとされます。これは、物件価格に対して収益が大きいことを示しているからです。
簡易的な収益評価
詳細なキャッシュフロー分析を行う前の第一段階の評価として、GIMは不動産投資の検討における初期指標としてよく利用されます。
市場動向の把握
GIMの変化を追うことで、地域や市場全体の不動産価格や収益性のトレンドを把握することが可能です。
Gross Income Multiplierのメリットと限界
メリット
- 計算が簡単
- 不動産価格と収入データがあればすぐに算出可能です。
- 比較が容易
- 投資対象をスピーディーに比較できるため、初心者にも分かりやすい指標です。
- 柔軟性
- 商業用物件、住宅用物件問わず幅広い不動産投資で活用可能です。
限界
- 運営費用を考慮しない
- GIMは総収入を基に計算するため、維持費や修繕費などの運営コストが考慮されていません。
- 空室リスクを反映しない
- 入居率の変動や賃貸市場のリスクを無視しています。
- 単年度ベース
- 長期的な収益性や市場の変化を直接評価することはできません。
GIMを使った具体例の比較
物件名 | 不動産価格 | 年間総収入 | GIM |
---|---|---|---|
A物件 | 1億円 | 1000万円 | 10 |
B物件 | 8000万円 | 1200万円 | 6.67 |
C物件 | 1.5億円 | 1500万円 | 10 |
この表から、B物件が最も効率的な投資対象であることが分かります。GIMが低い物件ほど、物件価格に対して収入が多いことを示しています。
GIMを使う際の注意点
- 他の指標との併用が重要 GIM単体では不動産投資の全体像を把握することは難しいため、キャップレート(Cap Rate)や収支シミュレーションと併用することが推奨されます。
- 市場特性の影響 地域ごとの不動産市場の特性によってGIMの基準値が異なるため、地域の平均値や業界標準との比較が必要です。