ICE（Impact, Confidence, Ease）とは

ICE（Impact, Confidence, Ease）優先順位付けフレームワークの解説

1. ICEフレームワークとは

ICE（Impact, Confidence, Ease）は、プロジェクトやタスクを優先順位付けするための簡便なフレームワークです。この手法は、アイデアやタスクの影響力（Impact）、確信度（Confidence）、実現容易性（Ease）の3つの要素を数値化し、それらをもとに評価します。効率的かつ効果的な意思決定を支援するため、特にスタートアップやマーケティングの分野で頻繁に活用されています。

2. ICEフレームワークの3つの要素

2.1 Impact（影響力）

Impactは、特定のアイデアやタスクが成功した場合にどの程度の影響を与えるかを測定します。評価基準としては、ビジネスの収益、顧客満足度、ブランド力などが挙げられます。

• 例：新しい広告キャンペーンが売上を10%増加させる見込みがある場合、高いImpactスコアを付与します。

2.2 Confidence（確信度）

Confidenceは、予測がどれだけ信頼できるかを示します。データ、専門知識、過去の実績などがこの評価に影響します。予測が不確実であれば、スコアは低くなります。

• 例：十分な市場データが揃っている場合は高いConfidenceを設定します。一方、仮説ベースでデータ不足の場合は低いスコアとなります。

2.3 Ease（実現容易性）

Easeは、タスクを完了するための時間、コスト、リソースの量を考慮し、どれだけ実現が簡単かを評価します。難易度が低いほどスコアが高くなります。

• 例：既存のツールで簡単に実施できる施策は高いEaseスコアが得られます。

3. ICEスコアの計算方法

各要素を1〜10のスケールで評価し、それらを掛け算してスコアを算出します。

ICEスコア = Impact × Confidence × Ease

スコアが高いものほど、優先的に取り組むべきと判断されます。

計算例

アイデア	Impact	Confidence	Ease	ICEスコア
新規プロモーション	8	7	6	336
システム改善	6	8	7	336
新商品開発	9	6	5	270

4. ICEフレームワークの利点と注意点

4.1 利点

• シンプルな計算で迅速に優先順位を決定できる
• 主観と客観のバランスが取れた評価が可能
• チーム内での意思疎通を円滑にする

4.2 注意点

• 主観的な評価になりがちなため、データを基に評価することが重要
• 長期的な影響を考慮せず、短期的な目標に偏るリスクがある

5. ICEフレームワークの活用例

5.1 マーケティング

新しいキャンペーン案の優先順位付けや、ABテストを行う際の対象選定に役立ちます。

5.2 プロジェクト管理

限られたリソースの中で、どのタスクを優先すべきかを明確にできます。

5.3 新規事業開発

事業アイデアのフィルタリングや、どの試作品を最初に開発するかの判断材料として利用されます。

6. 図解

以下はICEフレームワークの概念図です。

+--------------------+
|      Impact        |
|      （影響力）      |
+----------+---------+
           |
+----------+---------+
|      Confidence    |
|     （確信度）       |
+----------+---------+
           |
+----------+---------+
|       Ease         |
|    （実現容易性）    |
+--------------------+

これら3つの要素が重なった中心に、優先順位の高いアイデアやタスクが存在します。

7. ICEフレームワークが適した場面

• スタートアップや小規模プロジェクトでリソースが限られている場合
• データが豊富に揃っていないが迅速な判断が必要な場合
• チーム間での優先順位の合意形成が求められる場合