RASCI (Extended RACI with Support Role)とは?
RASCIは、業務やプロジェクトの役割と責任を明確化するためのフレームワークで、従来のRACI(Responsible, Accountable, Consulted, Informed)モデルに「Support(支援)」の役割を追加したものです。プロジェクト管理やチーム運営において、各メンバーがどの役割を果たすべきかを明確化するための手法として用いられます。追加された「Support」により、業務遂行の効率性が向上します。
1. RASCIの基本構成と役割
RASCIの各要素の定義
- Responsible(実行責任者)
実際に業務を実行する責任を持つ役割です。タスクを完了するための具体的なアクションを行う主体者がこれに該当します。 - Accountable(最終責任者)
業務の結果に対して最終的な責任を負う役割です。実行責任者がタスクを進める中で、判断や承認を行う権限を持ちます。 - Support(支援者)
実行責任者を補助し、業務遂行をサポートする役割です。専門的な知識やリソースを提供することで、タスクの効率を高めます。 - Consulted(助言者)
実行に関する意見や専門的な知識を提供する役割です。プロセス中でアドバイスが必要な際に関与します。 - Informed(情報提供先)
業務の進捗や結果について情報を共有される役割です。意思決定やアクションには関与しませんが、関連情報を受け取ります。
2. RASCIの活用方法
プロジェクトにおける適用手順
- タスクの洗い出し
プロジェクトの全タスクを一覧化します。これには、細かいステップも含めて明確にする必要があります。 - 役割の割り当て
各タスクに対し、RASCIモデルの要素を割り当てます。メンバーが一人で複数の役割を持つ場合もあるため、そのバランスを確認することが重要です。 - チーム内での合意形成
割り当てられた役割についてチーム全体で合意します。不明確な点や重複がないかを確認します。 - 実行とフィードバック
業務を進める中で、役割が適切に機能しているかを評価し、必要に応じて調整します。
3. RASCIのメリットと注意点
メリット
- 役割の明確化
各メンバーが自身の役割と責任を把握することで、タスクの混乱や責任の押し付けを防ぎます。 - 効率的な業務遂行
「Support」の役割が加わることで、実行責任者がリソース不足や知識の欠如で困難を感じることを軽減できます。 - 透明性の向上
プロジェクト内での情報共有がスムーズになり、全体像を把握しやすくなります。
注意点
- 役割の過剰割り当て
一人のメンバーに複数の責任を割り当てすぎると、負担が偏り、業務の遅れを引き起こす可能性があります。 - Supportの曖昧な定義
「Support」と「Consulted」の境界が曖昧になると、業務の進行に混乱を生じる可能性があります。
4. RASCIを利用したプロジェクトマッピングの例
以下はプロジェクトマッピングの例です。
タスク | Responsible | Accountable | Support | Consulted | Informed |
---|---|---|---|---|---|
新製品の仕様策定 | 山田 | 鈴木 | 田中 | 吉田 | チーム全体 |
マーケティング戦略の立案 | 高橋 | 鈴木 | 山田 | 山本 | 役員会 |
製造プロセスの最適化 | 吉田 | 山本 | 技術部チーム | 山田 | 営業部 |
5. まとめと活用のポイント
RASCIは、プロジェクトや業務を効率的に進めるために不可欠なフレームワークです。特にSupportの導入により、実行責任者がより高いパフォーマンスを発揮できる環境を整えられます。正確な役割分担と合意形成が、成功の鍵となります。