SSC (Shared Services Center)についての解説
1. SSC (Shared Services Center)とは
Shared Services Center(SSC)は、企業内で複数の事業部門やグループ会社に共通する業務やサービスを一元化して提供する組織や機能を指します。従来、各事業部や部門で個別に実施していたバックオフィス業務(例:経理、人事、ITサポートなど)を集中管理することで、効率化やコスト削減を図るために活用されます。
1.1 SSCの目的
- 業務の標準化:統一されたプロセスで業務を処理し、質の高いサービスを提供
- コスト削減:スケールメリットを活かして重複する業務を削減
- 業務効率の向上:自動化や専門性の向上により生産性を向上
- 専門性の強化:各業務に特化した専門チームを設置することで、品質を維持
2. SSCの主な機能
SSCで対応する業務は多岐にわたりますが、主に以下のような分野で利用されます。
2.1 経理・財務業務
- 記帳・決算処理の一元管理
- 給与計算や税務処理の効率化
2.2 人事業務
- 従業員データ管理
- 採用プロセスの集中化
- 福利厚生の一括管理
2.3 ITサポート
- ソフトウェアの導入・運用管理
- ユーザーサポートの提供
2.4 購買・調達業務
- サプライヤー管理
- 調達プロセスの効率化
3. SSC導入のメリットと課題
3.1 メリット
- コスト削減
各部門で分散して行っていた業務を集中管理することで、規模の経済を活かし運営コストを削減できます。 - 業務効率の向上
プロセスの標準化と自動化により、作業時間を短縮し、より迅速に対応可能になります。 - 質の向上
専門スタッフや最新技術の導入により、サービスの質を向上させることができます。
3.2 課題
- 初期投資の負担
SSCの設置やシステム構築には多額の初期投資が必要です。 - 変化への対応
既存の部門や従業員が変革に抵抗を示すことがあります。 - 地理的な制約
グローバル企業の場合、言語や時差が運用に影響を及ぼす可能性があります。
4. SSCを導入するためのステップ
4.1 現状の業務分析
各部門の業務プロセスを徹底的に分析し、SSCに統合可能な業務を特定します。
4.2 適切なSSCモデルの選定
以下のモデルを選択します:
- 集中型SSC:1か所に全業務を統合
- 分散型SSC:地域ごとに複数のSSCを設置
4.3 システムとツールの選定
4.4 従業員の教育と管理
新しいプロセスに適応するための研修を実施し、スムーズな移行を支援します。
5. SSC成功事例
5.1 グローバルIT企業
あるグローバルIT企業では、経理業務をSSCに統合した結果、運営コストを20%削減し、処理スピードを大幅に向上させました。
5.2 製造業界
製造業では、SSCを導入することで購買コストを削減し、調達プロセスを短縮することに成功しています。
6. 図表:SSC導入のメリットと課題の比較
項目 | メリット | 課題 |
---|---|---|
コスト | コスト削減が可能 | 初期投資が必要 |
効率 | プロセスの効率化 | 既存業務の移行が困難な場合も |
サービスの質 | 専門スタッフによる高品質な提供 | 地理的・言語的な問題の克服が必要 |