XSS(Cross-Site Scripting)とは
XSS(クロスサイトスクリプティング)は、ウェブアプリケーションにおけるセキュリティの脆弱性の1つであり、悪意のあるユーザーが第三者のブラウザで意図しないスクリプトを実行させる攻撃手法を指します。XSSは、ウェブサイトに入力された不正なコードが正規のウェブページの一部としてユーザーに配信されることで発生します。この攻撃により、ユーザーの個人情報の漏洩、セッションの乗っ取り、または偽のコンテンツ表示が引き起こされることがあります。
XSSが発生する仕組み
入力データの検証不足
ウェブアプリケーションが入力データを適切に検証またはエスケープしない場合、攻撃者がJavaScriptやHTMLコードを挿入することが可能になります。たとえば、検索フィールドやコメント欄が攻撃対象になることがあります。
スクリプトの埋め込み
挿入された不正なスクリプトは、ウェブページの一部としてサーバーからユーザーのブラウザに送信されます。ブラウザはそのコードを信頼されたウェブページの一部とみなして実行します。
攻撃の影響
- セッションハイジャック:攻撃者がセッション情報を盗み取り、不正アクセスを行う
- 個人情報の漏洩:クッキーや入力フォームに保存されているデータが盗まれる
- フィッシング詐欺:ユーザーに偽のコンテンツやフォームを表示し、情報を盗む
XSSの種類
ストアドXSS(Stored XSS)
悪意のあるスクリプトがサーバーに保存されるタイプのXSSです。このスクリプトは他のユーザーがアクセスする際に実行されます。たとえば、コメント機能や掲示板が攻撃対象となります。
リフレクトXSS(Reflected XSS)
攻撃者が作成した悪意のあるリンクをユーザーがクリックすることで発生します。このリンクにはスクリプトが埋め込まれており、クリック後にそのスクリプトがブラウザ上で実行されます。
DOMベースXSS
クライアントサイドでDOM(Document Object Model)操作を通じて発生するタイプのXSSです。サーバー側の処理を必要とせず、ブラウザ内のスクリプトで動作します。
XSSを防ぐ方法
入力データのエスケープ処理
ユーザーから入力されたデータをHTML、JavaScript、またはCSSとして解釈されないようにエスケープ処理を行います。これにより、意図しないスクリプトの実行を防ぎます。
コンテンツセキュリティポリシー(CSP)の利用
CSPを導入することで、ブラウザが許可されたスクリプトのみを実行するよう制限できます。これにより、不正なスクリプトの実行をブロックできます。
入力データの検証とサニタイジング
受け取ったデータを想定される形式に正規化し、不正なデータを除去します。これにはホワイトリスト方式を採用することが効果的です。
セキュアなフレームワークの利用
最新のウェブフレームワークを利用することで、XSSに対する自動的な防御機能が提供されます。たとえば、ReactやAngularは、デフォルトでXSS対策を実装しています。
XSSの具体例と影響
攻撃の具体例
- 悪意のあるコメントが投稿された場合htmlコードをコピーする
<script>alert('あなたの情報が盗まれました');</script>
このコードがそのままページに表示されると、訪問者全員のブラウザでスクリプトが実行されます。 - 攻撃者がフィッシングページを埋め込む場合
攻撃者はログインページに似せたフォームを埋め込み、ユーザーのIDやパスワードを収集します。
被害シナリオ
- あるSNSプラットフォームでストアドXSSが発生し、多数のアカウントが乗っ取られたケースが報告されています
- フィッシング詐欺を介した金銭被害や機密情報漏洩
XSSに対するビジネス上の重要性
- 顧客信頼の損失
セキュリティ対策の欠如は企業イメージを損ない、顧客の信頼を失う原因になります。 - 法規制への対応
個人情報保護法やGDPRなどの法規制に違反するリスクが高まります。 - ビジネス継続性への影響
攻撃によるサービス停止やデータ漏洩は、業務の継続に支障をきたす可能性があります。