ZBB(Zero-Based Budgeting)とは
ZBB(Zero-Based Budgeting)は、ゼロベース予算とも呼ばれ、予算編成方法の一つです。従来の「前年度予算を基に調整を行う手法」とは異なり、全ての支出をゼロから見直し、必要性や優先順位を基準に予算を組み立てます。経営資源を効率的に配分し、コスト削減や業務の透明性向上を図るために用いられる手法です。
ZBBの基本概念
従来の予算編成との違い
従来の予算編成方法では、前年度の予算を基準に増減を調整しますが、ZBBでは全ての項目をゼロから評価します。そのため、支出が慣例的に継続されるリスクを軽減し、必要性に基づいた予算計画が可能です。
例
- 従来の方法:「昨年度のAプロジェクトには100万円の予算があったので、今年は105万円」
- ZBB:「Aプロジェクトの目的や成果を再評価し、今年の予算を0から算出」
ゼロから始める具体的なプロセス
- 目標設定
- 組織の戦略目標や業績目標を明確化します。
- 活動の分類
- 全ての活動を洗い出し、それぞれの目的や成果を評価します。
- 費用対効果の分析
- 各活動の成果や価値を評価し、支出の優先順位を決定します。
- 予算の配分
- 必要と判断された活動に対し、予算をゼロから配分します。
ZBBのメリット
コスト削減
無駄な支出を徹底的に排除できるため、コスト効率の向上が期待できます。
業務の透明性向上
全ての支出が再評価されるため、支出の根拠が明確化され、説明責任を果たしやすくなります。
組織全体の目標達成を促進
予算が戦略目標に基づいて編成されるため、リソースを最適に活用できます。
ZBBの課題
時間と労力の負担
徹底的な評価が必要なため、準備に時間とリソースがかかります。特に大規模な組織では、多大な労力が必要となる場合があります。
組織内の抵抗
従来の慣例に基づく予算編成に慣れている場合、ZBBへの移行に対して心理的な抵抗が生じることがあります。
短期志向のリスク
短期的な成果を重視しすぎると、長期的な投資や成長を妨げる可能性もあります。
実際の活用例と成功事例
- コスト削減を重視する業界 製造業や小売業など、コスト効率が競争優位に直結する業界で活用されています。
- グローバル企業の導入例 大手企業ではZBBを導入し、不要な支出を削減し、収益性を改善した事例が多くあります。
図解:ZBBプロセスのフロー
目標設定 → 活動の洗い出し → 費用対効果の分析 → 予算の配分
ZBBの導入を成功させるポイント
- 経営陣のコミットメント
- 経営陣が率先して取り組むことで、組織全体の理解と協力を得やすくなります。
- 適切なツールの活用
- データ分析ツールやプロジェクト管理ツールを利用し、効率的にプロセスを進めます。
- 段階的な導入
- 全社的な適用は負担が大きいため、まずは特定の部門やプロジェクトで試験的に導入することが効果的です。