Full Consolidation(完全連結)とは何か
Full Consolidationの基本概念
Full Consolidation(完全連結)とは、親会社とその子会社の財務諸表を一体化して作成する会計手法を指します。主にグループ全体の財務状況や経営成果を正確に把握するために、企業グループの連結財務諸表を作成する際に用いられます。この手法では、親会社が子会社に対して持つ**支配力(一般的に議決権の過半数を保有している場合)**を前提に、子会社の資産、負債、収益、費用を親会社の財務諸表に組み入れます。
完全連結の目的
- グループ全体の財務状況を把握 完全連結は、親会社単独の財務諸表では見えないグループ全体の規模や収益性、財務健全性を明確にします。
- 透明性の向上 ステークホルダー(投資家や債権者)に対して、企業グループの全体像を分かりやすく示すことができます。
- 法的・会計基準への対応 IFRS(国際財務報告基準)やGAAP(一般に認められた会計原則)など、多くの会計基準では、完全連結が義務付けられています。
完全連結の具体的な仕組み
子会社の財務諸表の統合
完全連結では、親会社が所有する子会社の全ての資産・負債・収益・費用を親会社の財務諸表に統合します。この際、子会社における親会社の出資割合に関わらず、子会社のすべての項目が統合対象となります。
例:資産と負債の統合
- 親会社Aが子会社Bの80%の株式を保有している場合、子会社Bの**全資産(例えば10億円)と負債(例えば4億円)**を親会社Aの連結財務諸表に含めます。
- 残りの20%の非支配株主持分については、純資産の一部として別途表示します。
非支配株主持分の扱い
非支配株主持分は、完全連結の重要な要素です。子会社の**残りの持分(親会社が所有していない部分)**について、純資産や利益の配分を区別して表記します。これにより、親会社と他の出資者との間での明確な区分が可能となります。
完全連結の会計処理プロセス
ステップ1:子会社の財務諸表の収集
親会社は、子会社ごとの財務諸表を収集し、それらを同じ会計基準に基づいて調整します。これには、通貨の換算や異なる会計方針の統一が含まれます。
ステップ2:内部取引の消去
グループ内の取引(例えば、親会社と子会社間の売上や費用、貸借など)を消去します。これにより、実際の外部取引だけを反映した財務諸表が作成されます。
内部取引の例
- 親会社が子会社に商品を販売し、その売上を計上していた場合、その金額を相殺します。
- グループ内の貸借関係も相殺されます。
ステップ3:非支配株主持分の計上
子会社の利益や純資産のうち、親会社の持分以外の部分を非支配株主持分として計上します。
ステップ4:統合後の財務諸表の作成
親会社の財務諸表に子会社の財務データを組み入れ、グループ全体の財務諸表を完成させます。
完全連結のメリットと課題
メリット
- 全体像の把握 ステークホルダーにとって、企業グループ全体の規模や収益力を容易に理解できるようになります。
- 効率的な資源配分 グループ内での最適な資源配分を計画・実行する際の基盤となります。
- 資金調達の強化 グループ全体の財務健全性が明確になることで、金融機関や投資家からの信頼を得やすくなります。
課題
- 手間とコスト 子会社の財務諸表を収集・調整する作業や、内部取引の消去プロセスには多大な労力がかかります。
- 複雑さの増加 多国籍企業の場合、異なる会計基準や通貨を統一する作業が複雑になることがあります。
- 非支配株主持分の取り扱い 非支配株主との利害調整や計上方法において、慎重な対応が求められます。
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