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WDM(Wavelength Division Multiplexing)とは

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WDM(Wavelength Division Multiplexing)の解説

1. WDMとは何か

WDM(Wavelength Division Multiplexing)は、日本語で波長分割多重と呼ばれる技術で、1本の光ファイバーを複数の通信チャネルに分けて利用する技術です。各通信チャネルは異なる波長(色)を使用して同時にデータを送信できるため、通信回線の帯域幅を効率的に利用できます。

光通信の発展に伴い、WDMはデータ伝送量を大幅に増やす手段として広く採用されており、特に通信ネットワークやデータセンターの分野で欠かせない技術となっています。


2. WDMの仕組み

2-1. 波長の役割

光は波長(色)によって区別できる特性があります。WDMはこの性質を活用し、異なる波長の光を1本の光ファイバーに統合して送信し、受信側で再び分離する仕組みを持ちます。これにより、同時に複数のデータストリームを効率的に転送できます。

2-2. 多重化と分離のプロセス
  • 多重化(Multiplexing)
    送信側で複数の波長の光信号を1本の光ファイバーに統合します。
  • 分離(Demultiplexing)
    受信側で光信号を波長ごとに分離し、各波長に乗せられたデータを復元します。
2-3. 使用される機器

WDM技術を利用するには、以下の機器が必要です。

  • 多重化器(Multiplexer)
    複数の波長を統合する装置。
  • 分離器(Demultiplexer)
    波長を分離する装置。
  • 光アンプ(Optical Amplifier)
    光信号を中継地点で増幅する装置。

3. WDMの種類

WDMには用途や性能に応じていくつかの種類があります。

3-1. CWDM(Coarse WDM)
  • 特徴: 波長の間隔が広く、コストが低い。中距離通信に適している。
  • 波長数: 最大16波長程度。
  • 用途: 中小規模ネットワークや企業内通信。
3-2. DWDM(Dense WDM)
  • 特徴: 波長の間隔が狭く、多くの波長を利用できる。長距離通信に適している。
  • 波長数: 最大80波長以上。
  • 用途: 国際通信、データセンター間の大容量通信。

4. WDMのビジネス活用

4-1. 高速大容量通信を実現

WDMは既存の光ファイバーインフラを最大限に活用し、通信容量を飛躍的に向上させる技術です。これにより、新たなファイバーを敷設するコストを削減できます。

4-2. データセンターとクラウド環境

データ量が急増している現代、データセンター間での大量データ転送が求められています。WDM技術により、リアルタイムでの高速データ転送が可能となり、クラウドサービスの信頼性と速度を向上させることができます。

4-3. 通信キャリアでの活用

通信事業者は、WDM技術を用いて1本の光ファイバーで多数のユーザーの通信を同時に処理できます。これにより、コスト効率の良いインフラ構築が可能になります。


5. WDMのメリットと課題

5-1. メリット
  • 通信容量の向上: 光ファイバー1本で複数の通信を可能に。
  • コスト削減: 新しいファイバー敷設が不要。
  • 柔軟性: 波長ごとに異なるサービスを提供可能。
5-2. 課題
  • 初期コスト: WDM機器の導入には高額な費用がかかる。
  • 技術的複雑さ: 運用と保守には専門知識が必要。
  • 光信号劣化: 長距離通信では光信号の減衰やノイズが発生するため、光アンプの設置が必須。

6. WDMの未来

光通信技術の進化により、WDMはさらなる高性能化が進んでいます。今後はより狭い波長間隔で多くのチャンネルを提供できる超DWDM技術や、AIを活用した自動化運用の導入が期待されています。また、量子通信との組み合わせも研究が進んでおり、次世代通信基盤として重要な役割を果たすと考えられています。


図や表

WDMの仕組みの図解(例)

[送信側]
データA → 波長1
データB → 波長2
データC → 波長3
↓ 多重化器
1本の光ファイバー
↓ 分離器
[受信側]
波長1 → データA
波長2 → データB
波長3 → データC

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